【第2回】顧客の心を掴む提案書のコツ。まずは課題を整理する②
顧客の心を掴む提案書の書き方、第2回目、今回は課題をヒアリングするの続きです。
まずは、前回の振り返りです。
前回は顧客から素直に課題を聞いた所で終了しています。
前回のあらすじはこちら。
部品製造(株)のサポート部 A部長より・自社社員の納品進捗管理の部分をシステム化の相談をうけた。
以下が前回聞いた困っていること
・取引先営業に部品納期を電話報告
・当日の納品進捗も都度、電話報告
・電話対応のためにパート3人必要
・パートが足りない日は社員が対応
・社員の納品進捗も電話で確認
詳しく知りたい方は第1話をご確認ください。
rapisino.hatenablog.com
前回は受け身のヒアリングでしたが、今回はこちらから質問形式でヒアリングしていきます。
1)課題をヒアリングする(その2)
前回は以下の①のヒアリングをしました。
②顧客の情報
③現在の運用
④予算感と期末
⑤問題の本質
①は顧客が考えている主観的な課題と、前回書きましたが、ここからは第三者が考える客観的な課題の抽出になります。
②顧客の情報を整理する
まずは、基本中の基本である顧客の情報を整理します。
顧客が持っている情報のヒアリングは以下の4点が重要です。
・本件の登場人物と役割
・本件の対応で利用しているツール
・本件に関わる業務場所・時間
本件が発生する理由
取引先営業に部品納期と当日の納品進捗も都度、電話報告が発生する理由は以下のような理由のようです。
実は納期回答に関しては毎日メールでお送りしているのですが、先方の営業担当の方は基本的に外出が多くてメールを見るのが会社に帰ってきた夕方だけらしいんですよね
取引先から納品回答を求められると、すぐに回答したいのでこちらに電話をしてきてしまう・・・ということみたいです
携帯をお持ちならメールも見れそうですけどね
メールは沢山くるので、見るのが億劫と営業さんが仰ってましたね
あっ、でも「ラインワークスだったらやってるから、そっちに連絡くれれば見るよ」とは言ってましたね。当社はラインやってないから丁重にお断りしましたけど(笑)
つまり、メールを見るのが面倒というお話のようです。
まぁ、気持ちは分かるんですけどね・・・。
納品進捗は顧客に聞かれた場合にすぐに回答する必要があるので電話をしてしまうようです。
…因みに先方の営業さんとやらは「ラインワークス」ならやっている
という情報が得られました。
こういう情報は地味に重要だったりします。
登場人物と役割を確認する
さて、理由は何となく分かりました…が登場人物がよくわかりません。
早速ヒアリングしてきたいと思います。
サポートの社員の方とパートの方は何名いらっしゃるんですか?
社員が10名でパートが3名です。
社員の方とパートの方の業務内容をご教授いただけますか?
社員7名は主に納品と現地でのサポートがメインです。基本は納品しておしまいなんですが、たまに特注部品なんかがあって説明したりとか、不良品があった場合の対応を行っています。
残りの3名は管理者と内勤者で外勤サポートのフォロー業務をしています。納品用の部材をそろえたりとか、納期一覧の作成・送信とか…
パートさんはその間電話対応だけをやっているんですか?
実質はそうなりますね。納期回答は社員が作成した納期一覧を元にパートさんが回答して、現在の納品進捗は社員に電話して、聞いた内容を先方の営業さんに伝えています。
因みに御社の営業の方は対応をしてくれないのですか?
この部門は基本的に決まった部材を提供するのがメインになるので、営業も兼ねているんですよ。…なので、実は営業兼サポート部が本来の仕事なんです。
基本的にはパートさんが常に2人はいて電話対応に当たっているそうです。
さて、ここまでは顧客内部の登場人物のお話。
次は顧客の取引先の登場人物と役割を整理していきます。
先程から「先方の営業さん」と仰っていますが、これは特定の得意先だけの問題なんでしょうか?
弊社の主な取引先は3社あって、X社、Y社、Z社です。
でも、今回の問題で解決したいのは主に一番取引の多い「Z社の営業さんからの連絡問題」なんです。
電話の9割がZ社からなんです。
他の得意先様はあまり電話がないんですか?
全くないわけではありませんが、事前に納期回答しておけば社内で共有する仕組みがあるらしくお問い合わせは殆どこないですね。
なるほど、概ねZ社ですね。
バーテンダーから出されたら怒り出しそうな会社名が並びましたが、まさにENDの「Z社」です。
因みにこの問題を解決すると実はX社、Y社にもメリットのある提案になりそうです。
利用しているツールを確認する
現在取引先との使っているツールを確認します。
電話連絡以外だと、納期回答をメールで行っていると仰っていたと思いますが、納期の一覧はエクセルか何かですか?
そうですね、主にZ社からくる発注明細CSVを元にエクセルで納期一覧を作り直しています。
それは大変ですね。もしかして、エクセルはCSVからコピー&ペーストされてますか?
そうなんですよ。これが地味に大変で…。
以前、エクセルオンラインでやり取りを提案したんですが、Z社独自発注システムから発注明細が出力されるからコピペが面倒なのでと却下されています。
こちらもコピペの手間はかわらないんですけどね(もやもや)
因みに先方からくる発注明細のCSVと貴社で作成している納期一覧のエクセルを頂くことは可能でしょうか?
問題ないですよ。後でメールいたします。
…これは得意先から現在の運用をごり押しをされている感じですかね。
使っているツールは電話・メール・エクセル・・・と、やや時代に取り残されている感のある運用です。
メールに至ってはそもそも見ていない疑惑すらあります。
今回はCSVとエクセルのファイルを回収しましたが、こういうものは必ず回収してください。
実はこういうアイテムにこそ、顧客のやりたいことが隠れていたりするんです。
既にこの中にもお客様が課題として口にしなかった別の問題が内在しています。
気がつきましたか?
本件に関わる業務場所・時間
業務時間帯は必ず確認しましょう。
まず、作業のリードタイムを確認します。
部品は希望納期の約1週間前に発注が来る
納期回答は発注依頼から翌営業日迄
進捗確認のある時間帯はこんな感じだそうです。
Z社の終業時間:9:00~17:30
部品製造㈱も同様の就業時間
土日祝日はお休み
時間外はほぼ連絡は来ない
意外とどちらの会社もホワイトな感じですね。
連絡も就業時間以外はないみたいです。
後は進捗確認もあるので場所の情報も聞きます。
Z社の工場3ケ所
Z社の顧客31ケ所
すべて関東圏内
提案の段階なので、あまり細かい事までは聞きませんが、仕様設計の段階であれば全ての場所のリストなどももらったりします。
まあ、ざっと場所の情報は聞き出してください。
当然、納品があるので出荷もあります。同じく場所情報を確認します。
部品製造㈱の倉庫1ケ所から出荷
これで、大まかな課題要素は引き出せました。
2)今回のまとめ
長くなってしまいましたが、今回はここまでです。
今回は結構重要な情報が得られたと思います。
ヒアリングするポイントを理解していれば、重要な情報を短い質問で端的に得ることが可能です。
今回はこちらにとって良心的なお客様という前提はありますが、
②のヒアリングでしっかり4つのポイントを押さえた質問をすれば、大体知りたいことはわかります。
・本件の登場人物と役割
・本件の対応で利用しているツール
・本件に関わる業務場所・時間
この回は課題ヒアリングとしては肝となる部分なので覚えておくと便利です。
さて、ここでヒアリングした内容を箇条書きにしたいところですが、次回の「③現在の運用」のために取っておきたいと思います。
どういうことかは、次回解説いたします。
あまりに固い内容の記事なので、2回程別の記事を挟んで、続きを書きたいと思います。
ということで、残念パパこといのっちでした。
では、また!
何故、電話で連絡をする必要があるのでしょうか?他にも手段はありそうな気がするのですが